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「カランコエの花」を観て


映画「カランコエの花」を観てきた。



友人がこの作品を観劇しており、その感想を9月にブログに綴っていた。
私はそのブログを読んでからずっとこの映画を観たかったのだが、なかなかタイミングが合わずにいて、ようやく12月1日に水戸で行われた上映会に参加することができた。



お洒落なカフェに不揃いな椅子と小さなテーブルをいくつか並べた会場。
なんとも落ち着く環境の中で観たそれに、私は終始胸をうたれていた。



この映画は登場人物たちの会話が本当に自然でリアルで、映画だということを忘れるようだった。
学校のシーンでは、高校生って本当にこんな感じだよなぁと思いながら、ある種ドキュメンタリーのような感覚で見ていた。



ある高校のひとつのクラスの中で突如「LGBT」という話題が授業として取り上げられる。
もしかしたらうちのクラスにLGBTの人がいるのではないか、という興味や好奇心のみで騒ぎ出す生徒たち。まるで犯人探しでもするように、該当者を面白半分で探そうとする男子生徒。



でもこの作品の登場人物全員が本当にピュアで、無邪気。悪気なんてない。だからこそ残酷だなと思う。



この作品には余計なBGMがなく、日常の音と会話だけ。
だからひとつひとつのシーンにおけるその人物の心情が痛いほど伝わってきて、切なく、苦しくなる。



私は一番最後のエンドロールのシーンが頭から離れない。
あの瞬間、自然と涙が溢れて止まらなかった。



人を好きになるっていいな、ただ何気ないことで小さな幸せを感じていられればそれだけでいいんだよな、って感じて、私も恋がしたくなった。
誰かを好きになってたくさんの感情に気づきたい。



すべてのシーンにおいて感想を交えながら話したいけど、ネタバレになってしまうからできないのがもどかしい。その場で初めて観て、フラットな状態で何かを感じ取ってほしいと思った。本当にたくさんの人に観てほしい、いろんなことを感じてほしい。



人を好きになるって自然なことなのに、その自然が不自然として周囲からとらえられてしまうのってなんだか悲しい。
好きな人に好きと伝えることがこんなにも難しいなんて、本当に苦しい。



LGBTに関して、自分には関係のないことだと思っている人もいるかもしれない。
でもこの映画を観たら自分も当事者であるということに気づくのではないだろうか。



自分の周りにLGBTの人はいないと思っている人もいるかもしれない。
でも本当はいないのではなくて、誰にも言い出せなくてひとりで抱え込んでいるのではないのだろうか。



私はこの映画に出てくる男子生徒の心情の変化にものすごくリアリティを感じた。
これは観た方全員感じているんじゃないかなぁと思うんだけど、内容を言いたいけど言えないのが悔しい。



映画を観終えた後、ゲストトークの時間があった。
監督の中川駿さん、主人公のお母さん役の石本径代さん、先生役のイワゴウサトシさん、企画・助監督の柴田徹也さん、水戸市 みとの魅力発信課の平戸正英さん。



エンドロールが終わってから皆さんが入場されてひとりひとり紹介されていくんだけど、エンドロールの余韻を引きずりまくっていた私は紹介を聞きながらも涙をこらえるのに必死でものすごく厳しい顔をしていたと思う(笑)



皆さんから撮影中の裏話をたくさん聞けて、ひとつひとつに納得しながら映画の内容を思い出していた。
このシーンはこうやって撮っていたとか、実はここは狙ったわけじゃなかったのに思わず良い画が撮れたとか、監督がたくさんお話してくださって本当に有意義な時間だった。



トークも終わって帰るときにゲストの皆さんがロビーに出ていてくださって、ありがとうございましたと声をかけていただいた。本当はおひとりおひとりに「友人のブログでこの映画を知りました、本当に素敵な映画をありがとうございました」ときちんと伝えたかったけど、その後の予定が詰まっていてお話出来なかったことだけが悔しい。



人を愛することの純粋さ。苦しさ。切なさ。
本当に素晴らしい作品でした。



友人のおかげでこの作品に出会えてよかった。
そしてこの映画で感銘を受けた私が今度は誰かをこの作品と出会わせてあげたいと本当に思う。



カランコエの花」



ぜひたくさんの人に観てほしいです。